司会:皆様、本日はご来場頂き誠にありがとうございます。ただいまより、会長のご挨拶がありますので、静粛にお願いいたします。では会長、よろしくお願いします。

会長:皆さん、こんばんは。これから、ダンスミュージックのスピリチュアルな未来像を、グローバルに、かつユニバーサルな視点から、クラブカルチャーの現時点での問題点を踏まえつつ考えていきたいと思います。
まず、DJとクラバーの、インタラクティブなコミュニケーションの中から生み出される、エモーショナルなバイブレーション及び、ある意味パーソナルなロマンチシズムを追求していく上での、ポジティブマインドな精神のあり方、ストイックなイノベーター、エンターテイメントスタイル、エクスペリメンタル、かつオプティミスティックなカテゴリ、バレアリックでシリアステイストなクリエイティビティのエポックメイキングとしてのオリジナリティを用いて、エキサイティングなユースカルチャーをクリエイトしていきたいわけですが、その前に、ロマンチシズムとニヒリズムのオープンマインドなネットワークの確立に影響を与えたとされる、アンダーグラウンドの精神性をアーティスティックにインスピレーションさせたグローバルテクノヴィレッジの住人達とのアクセスの中で得られたポジティブなメンタリティは、現代テクノロジーのフレンドリーな側面を象徴したものであり、セカンドサマーオブラブ以降のスタイルを象徴したものであることを前提として、これから二時間という短い間ですが、ここにおられる皆さんと共に考えていきたいと思っております。

司会:会長、ありがとうございました。ではここで、私からいくつかの質問をさせて頂きたいと思います。先ほどの挨拶の中にありました、ダンスミュージックのスピリチュアルな未来像を、グローバルかつユニバーサルな視点から、クラブカルチャーの現時点での問題点を踏まえつつ考えてゆく、とは具体的にどういうことなんでしょうか。

会長:わかりません。

司会:それでは、ある意味パーソナルなロマンチシズムを追求していく上での、ポジティブマインドな精神のあり方、ストイックなイノベーター、エンターテイメントスタイル、エクスペリメンタル、かつオプティミスティックなカテゴリ、バレアリックでシリアステイストなクリエイティビティのエポックメイキングとしてのオリジナリティを用いて、エキサイティングなユースカルチャーをクリエイトしていく とは、具体的にどういうことなんでしょうか。

会長:よくわかりません。

司会:では、ロマンチシズムとニヒリズムのオープンマインドなネットワークの確立に影響を与えたとされる、アンダーグラウンドの精神性をアーティスティックにインスピレーションさせたグローバルテクノヴィレッジの住人達とのアクセスの中で与えられたポジティブなメンタリティは、現代テクノロジーのフレンドリーな側面を象徴したものであり、セカンドサマーオブラブ以降のスタイルを象徴したものであるとは、具体的にどういうことなんでしょうか。

会長:うーん、わからない。

司会:会長、どうもありがとうございました。では次に、事前に募集したお便りを紹介したいと思います。東京都調布市にお住まいの○○○○さん27歳のお便りです。
「部長がやな奴なので、先日仕事中に皆の目を盗んで会社を抜け出し、川沿いの公園のベンチで寝そべってテクノを聴いていました。すると何故かふわふわとした幸福感に満たされ、身体の一つ一つの細胞が自然のパワーと調和し、今までに感じたことのないようなエナジーを感じました。なんとも言えない不思議な体験でした。その後会社に戻ることも忘れ、家に帰ってしまいました。会社の皆には悪いことをしたけれど、テクノの素晴らしさを実感することができました。もしこの先会社をクビになったとしても、テクノさえあればなんとかやっていけるような気がします。落ち込んだ時、苦しい時、いつでもテクノは私を元気づけ、勇気づけてくれました。ところで、私の周りにはテクノを聴く人が一人もいません。友人に聴かせても全く理解してくれません。でも私はテクノが大好きです。この先テクノが廃れ、誰も聴かなくなり、たとえ最後の一人になったとしても、テクノを聴き続けるつもりです。本当、Techno or die!!って感じです。」
会長、このお便りにコメントをお願いします。

会長:素晴らしい。あなたのような人がこれからのテクノシーンを背負っていくのです。たとえ世界が崩壊して、あなた一人だけになってもテクノを聴き続けてください。そこにはきっと、フューチャリスティックなビジョンが開けることでしょう。しかし、あなたが体験したスピリチュアルジャーニーは、まだまだ初歩的なものです。上のステージにあがるために、音の粒子を見ることができるように努力したり、イルカと一緒に泳ぐことに憧れたりしてください。テクノオアダイ。テクノか死ぬか。本当にそうですね。テクノは永遠の未来の音楽です。そして何より重要なのは、この瞬間を永遠にまで昇華させていく意志の力、デトロイトで、フランクフルトで、西海岸で、そして東京で、時を超えて、私たちが体験したあの感じ、この感じが遺伝子のように繋がっていく。まさにここに宇宙がある。もはや確認するだけの未来しか残されていないのなら、そこには永遠の波に向けてのソウルミュージックが繰り返し流れ続けるだろう。テクノはそこで流れるソウルミュージックなのです。新しいのに懐かしい、奇跡の音、微細で天才でもっとも強く、もっとも美しい、それがテクノオアダイ。

司会:会長、どうもありがとうございました。他に何かありますでしょうか。

会長:いや、もう言いたいことはないよ。ただ一つ、テクノオアダイ?いい加減にしろ。本気で聴いていた奴、嘘に決まってるだろ。気持ち悪いんじゃ!ヴェー!!!

司会:会長、ありがとうございました。なお、本日ご来場されたお客様で、テクノオアダイな方がおられましたら、必ず変なメガネを着用の上、直ちにご退場ください。さもなくば、ダイ!!!



[このスピーチについて]
ここでは、ダンスミュージックの霊的・宗教的な未来像を、国際的な視点から、クラブ文化の現時点での問題点を踏まえつつ考えていく。

まず最初の段落。要するに、ダンスミュージックの今後を広い視点で、様々な問題点も頭に入れながらダンスミュージックはどうあるべきか考えようという問題提起かと思われます。

まず、DJとクラブイベント常連の双方向の交流の中から生み出される、心を動かす雰囲気、またある意味個人的に現実から離れ夢や空想に浸る上での、物事を楽天的に見る精神のあり方、禁欲的な革新者、遊び方、実験的で楽観的な範疇、ごった煮で真面目な創造性の、時代を切り開く独創性を用いて、若者文化を創造していきたい所だ。しかしその前に、ロマン主義と虚無主義の博愛的なつながりの確立に影響を与えたとされる、地下文化の精神性を芸術的にひらめかせた国際テクノ村の住人達との接触の中で得られたポジティブな精神性は、現代の科学技術の友好的な側面を象徴したものであり、セカンドサマーオブラブ以降の様式を象徴したものであることを前提として考えていく。

 クラブではDJとクラバー(つまり客)との間からは、自由で新しく、ヒッピー的な雰囲気や思想、あるいは真面目に新しい時代を切り開いていこうという性質が生まれるけど、それを利用して若者文化を作りあげていきたいということですね。ですが、そういった精神は、現代のテクノロジーの友好的な側面の一つで、80年代後半のイギリスのレイヴブーム以降のやり方を象徴したものだということを前提に考えたいと。

しかしこの後、司会者は会長に具体的にこれらが意味することは何なのか問うが、会長自身は分かっていないと発言しているわけです。

その後司会者はとある会社員の男性のお便りを読み上げる。
男性は会社に不満があり、仕事を抜け出してテクノを聴いてみるとテクノの良さに気づいてしまった。結果、会社のことはすっかり忘れ帰宅してしまった。会社に迷惑を掛けたとは思うがテクノの素晴らしさを体感できた。無職になってもテクノがあればやっていけるし、どんな辛いことがあってもテクノが自分を元気づけてくれると男性は言う。男性はとにかくテクノのとりこになり、誰もテクノを聴かなくなっても自分はテクノを聴き続けるという堅い意思表示をした。よほどハマったようですね。

会長はそれに対して、こういった人が今後のテクノシーンを背負っていくからテクノを続けてほしいと願う。そうすれば明るい未来も待っているだろうと会長は予測する。しかし、男性の体験は初歩的なもので、もっと上の体験をするために、もっとスピリチュアルなことをしなさいとアドバイスをしている。テクノか死か、これは間違いないことである。テクノが無くなれば死だ、テクノは永遠の音楽ですからね。 テクノを通じて体験した何とも言えない感じはどこへでも、誰にへも繋がっていく。つまり、テクノは非常に素晴らしい全人類の心の音楽であると会長は言う。

ところが、会長は上記のことは全て嘘でキモいからやめろとテクノを一蹴した。 テクノ好きをあぶり出して追い出すスピーチだったようです。だいたい、テクノってキモいし変なメガネだし。テクノってなんやねん?

僕は昔からいつも思うのですが、テクノは確かに高揚感があります。しかし、それって本当にテクノの高揚感なのでしょうか?確かにテクノを聴いていると身体はノりますし、なんとなく楽しくなります。しかし楽しくなくなろうと思えば楽しくなくなれます。テクノを聴いていると必ず気持ちよくなるかというと、僕の場合はそうではありません。ですが、テクノは面白いからいいと思います。

私は大学では先進的テクノロジーを学んでいるため、国語はいかんせん苦手ですから、誤りもあると思いますが、自分はこのスピーチを聴いてこういう解釈・考え方をしました。ご参考にするな